そろそろ、夫に遺言書を書いてほしいというとき。
10年後は団塊の世代を中心にして、東京をはじめ埼玉県、 千葉県、神奈川県における介護施設が足りない状況になるから、地方へ「老年移住」も必要になるという報道がありました。
少子化と人口減少が止まらない状況で、この国の福祉政策 の曖昧さからこれからの先々に多くの方が不安を抱いているように思えます。
老後の生活に必要な貯蓄はいくらあればいいのか、そもそも、いくらも貯蓄はないし、年金だけでは生きていけないとの声もあります。
最近、二つの相談を受けました。
おおよそ20歳離れた再婚夫婦の方の相談と、定年を経て 今は悠々自適に暮らしておられるご夫妻の相談です。
二つの相談に共通していることは夫婦の間に子供がいないことと、夫に兄弟が存在していることです。
そしていずれの妻も夫に早く遺言書を書いてほしいと願って相談に訪れたということです。
不思議なもので、お話を聞いていますとまずは、夫が先にこの世に別れを告げるように決めつけているような感じ
もします。
しかし厚生労働省の統計では、女性の方が長生きをしているのも事実ですし、おおよそ財産が夫の名義になってる場合が多いのが、この世代では一般的のようですから妻たちの気持ちもわからないことではありません。
夫が亡くなればその遺産は妻は4分の3を取得して4分の1を兄弟が取得するのが民法に規定している法定相続分です。
たとえば、夫名義の残された不動産は相続により妻4分の3と兄弟4分の1の名義に共有登記されます。
妻は夫が残した自宅に住みたいでしょうし、兄弟は4分 の1相当の現金を遺産からもらいたいと思うかもしれません。
しかし、4分の1相当分の現金がなかったら、兄弟は妻に残された自宅を売り払って、その代金から支払ってほしいということくを言い出しかねません。
それを拒んでも兄弟から自宅の共有物分割の調停や裁判を起こされ最終的には裁判所への申立により自宅の不動産競売がされて、その代金を分配してしまうことも考えられます。
それを防ぐために妻は夫に遺言書を書いてほしいのです。
遺言書が残されていれば夫が亡くなっても兄弟には遺留分がありませんから4分の1をよこせとは言えなくなるのです。
そしてその遺言書には「妻にすべて遺贈する」ではなく「妻にすべてを相続させる」と書かなければなりません。
「妻にすべて遺贈する」と書くと少なくとも自宅の不動産登記の際には他の相続人である兄弟の委任状、印鑑証明書が必要となり、妻と兄弟の登記の共同申請となってしまいます。
ここで兄弟から「印鑑代」を払わなければ協力できないと言われる場合もあります。
そこで「妻にすべてを相続させる」と書いておけば兄弟の委任状や、印鑑証明書は不要で妻一人で登記申請をすることができます。
間違えて遺言書に「妻にすべてを遺贈する」と書かれていた場合でもその遺言書に「遺言執行者」が指名されていたらその遺言執行者と妻は共同申請をすることになる
ので、兄弟の協力は不要です。
仮にその遺言書に「遺言執行者」が指名されていなくとも諦めずに家庭裁判所へ「遺言執行者の選任申立」をして家庭裁判所で選任された遺言執行者と妻が登記の共同申請をすればよいのです。
もちろん「相続させる」と遺言書にあれば預貯金もすべて奥さんが取得することになります。
せっかく夫に遺言書を書いてもらうのなら以上のことを念において夫と話し合って、可能な限り公正証書で遺言書を作るようにしてください。
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