遺言を公正証書で残す重要性

遺言書には種類があって、公正証書で作られた遺言書や自分の自筆で 全部書く自筆証書遺言、秘密証書遺言などがあります。

どちらの遺言書も遺言書としての効力はみな同じです。

ところが、金融機関によっては持参した遺言書だけでは預金を解約して くれないところもあるようです。

例えば、父親が遺言書を残しておいて死亡したとき、その遺言書で父親 名義の預金を解約しようとしたら、金融機関の窓口で、相続人全員の実 印を押印した同意書と印鑑証明書を要求されて解約に応じてもらえなか った、などです。
遺言書があるのに、まるで遺言書がない場合と同じような手続きを求められるのは変なことです。

このような場合、金融機関によっては、
1、遺言書に預金の口座が書かれていない。
2、他に新しい遺言書がある可能性がある。
3、遺言執行者の記載が遺言書にない。
4、相続人間に相続争いがある。
などを口実にしているようです。

しかし、このようなことで遺言書の存在を無視されるのは許せませんね。

そこで、平成13年さいたま地方裁判所熊谷支部であった判例では、公正 証書で指名されていた遺言執行者が金融機関に払い戻しを求めたところ、

「同支店は相続人全員の承諾などをもとめるなどしてその払い戻しを拒んだ」ので、それは違法であるとして遺言執行者が損害賠償請求の訴えを起こし、勝訴したというものです。
この判決後、
現在は、遺言公正証書の場合には金融機関のこのような対応も少なくなり
ました。

ところで、先ほど述べたように各種の遺言書の効力に優劣はないのですが、
遺言公正証書と自筆証書遺言書などとは公証力という意味においては、違いがあるようです。

上記の判例でも、「公正証書は法律でさだめられた方法によって公務員たる公証人が作成する公文書であり、それ自体債務名義にもなりうるというものであって制度的に信用性が担保され、私文書と異なった種々の法的効力が認められているものである」と述べています。
そして「被告が、本件公正証書の信憑性に疑問がなげかけられていた旨主張するが、私企業である銀行が調査を尽くしたとしても、銀行が公正証書の成立の真正を判断し、公文書たる公正証書の真否を結論づけることはできないものというほかない」と言い切って、加えて「公正証書より信性が高い遺言は制度として存在しない」と言っています。

更に「制度上権利義務関わる内容を公証するものとして存在する公正証書の信用性を私文書のそれと同一に解することはできない」とします。

この判決後、遺言公正証書の場合にはこのような金融機関の対応も少なく
なったようです。

最近は書店に自筆遺言証書の書き方などの本や「遺言セット」のようなも置かれているのをよく見かけます。
自筆遺言証書は自分で書くので費用もかかりませんが、ただ

1、方式の不備で遺言書自体が無効になる場合がある。
2、内容の解釈が問題となる場合がある。
3、遺言者の遺言能力を争われる場合がある。
4、家庭裁判所で検認手続きの必要がある。
5、金融機関によっては遺言公正証書でなければ、相続人全員の同意書を
を要求することがある。

など作成するにあたって慎重さと手間暇が求められます。

金融機関での預金払い戻し手続きで、妙な言いがかりを防ぐためにも人生最後の重要な「書きおき」ですから、当相談室は、多少費用がかかっても 公正証書遺言書を書きおくことと、遺言執行者も遺言書で指名しておく ことをお薦めいたします。

(引用参考資料)

さいたま地方裁判所熊谷支部平成13年6月20日判決
平成12年(ワ)第333号 判例時報1761号87頁。

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